小売業界で注目が高まりつつある「リテールメディア」。米調査会社Insider Intelligenceは、米国のリテールメディア広告費は2024年に610億ドル(約8.5兆円)に達し、全デジタル広告費の19%を占めると予測している。
日本国内でいち早くリテールメディアへの取り組みに着手したのがセブン‐イレブン・ジャパンだ。自社アプリを通じた広告配信に加え、22年末から店舗にデジタルサイネージを設置した広告配信の実証実験を進めている。
国内に2万1401店(5月末時点)を有するコンビニエンスチェーンの雄は、リテールメディアをどう捉えているのか。その狙いと現状の取り組みについて、セブン‐イレブン・ジャパンのリテールメディア推進部 総括マネジャーの杉浦克樹氏と、協業パートナーのLMIグループ(東京都港区)の望田竜太副社長に聞いた。
都内のセブン‐イレブン店舗に入ると、飲料が並ぶ冷蔵棚の上に設置された大きなデジタルサイネージに目が留まる。その画面には「セブンプレミアムゴールド 金のハンバーグ」「カップデリ」などオリジナル商品の広告が次々に映し出される。
セブン‐イレブン・ジャパンでは、22年内に東京都内の直営店12店舗にデジタルサイネージを設置。23年に入ってからは関東圏の約70店舗で実証実験を行っている(5月末現在)。
「デジタルサイネージに関する知識もノウハウもない状態からスタートしたので、まずは設置から配信まで、一連の運用が問題なくできるかを見ている段階」。杉浦氏はそう語る。重さ60〜70キログラムの資材を落下しないように設置するにはどうすればよいか。24時間営業である店舗に支障をきたさずにどう設置工事を進めるか……いざ走り出すとすべてが初めての経験で「テレビのように当たり前に映像が流れるものでないことを知った」と振り返る。
協業パートナーは、リテールテック事業を展開するLMIグループ。同社はもともと広告などの印刷物やディスプレイを長く手掛けてきており、「データの取得・分析だけでなく、現場視点からの設置、施工などのノウハウを持っているので、非常に頼もしい存在」と杉浦氏は話す。望田副社長は「“リアルワールドデータ”の活用がLMIのミッションの一つ。それをセブン-イレブン様と一緒に検討できることにやりがいを感じている」と意気込む。
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